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October 30, 2008

いつか読書する日

いつか読書する日』 をDVDで鑑賞。

あらすじ:
大場美奈子(田中裕子)は、牛乳配達とスーパーのレジで働く50歳の独身女性。夜はひとりベッドで大好きな小説を読んで過ごす。単調だが静かで穏やかな毎日。一方、高梨槐多(岸部一徳)は同じ町の市役所に勤める既婚男性。末期ガンの妻・容子(仁科亜季子)を自宅で看病する日々が続いていた。美奈子が配達する牛乳はそんな槐多の家にも届けられていた。実は美奈子と槐多は高校時代の初恋のふたり。しかし、あることが原因で疎遠になってしまった。それでも美奈子は槐多への想いを忘れることが出来ずにいた。そして槐多もまた、同じ想いを抱き続けていた。そんなある日、容子は牛乳を飲まない夫が配達を頼んでいる理由を知ってしまう...。

美奈子を中心に淡々と進む。階段の多い町で牛乳配達をし、彼女の刻む牛乳瓶の音だったり存在が、町の人達にリズムを与える。スーパーのレジ係も淡々とこなす。いったい何か楽しみなんだろう?と思った時、冒頭のシーンを思い出す。1人朝食を食べながら気になった新刊の広告を切り抜く。寝る前に布団の中で本を読む。これなんだなぁ。そうかと思うと、町中に牛乳を配達するのが夢だという。なんと小さな幸せと大きな夢なんだろうか。結婚をあきらめ牛乳配達と読書の日々。結婚は、あきらめたのではなく、我慢していたんだなぁきっと。その隙間は、牛乳を配達することによって無心になり、また時に友人と酒を飲んで忘れることが出来たのかもしれない。これじゃぁまるでサラリーマンじゃないか...。そういうことか?。そんな平凡過ぎる日常のスパイス的イベントとして、児童保護とボケ老人のエピソードが挿入される。これが本筋に微妙に絡んでおり、なかなかうまいなぁと思った。

田中裕子の演技と体力には何もいうところはない。こういう淡々としたなかからにじみ出てくる”普通”の味みたいなものはハマリ役だと思う。岸部一徳も見た感じからして違和感がないし、静と動の切り替えがうまい。脇を固める人達も隙がなくほとんど気にならなかったのは少し驚き。

とにかく坂が多い。ロングショットのシーンが度々でてくるが、町全体の起伏をうまく見せてくれており、それがそのまま大場美奈子や高梨槐多の内に秘めた人生とピタリあっている気がする。表面的に見える平凡さとはかけ離れたところに2人はいるんだと。だから「いままでしたかったこと全部して」に集約されてくるところがいきてくる。しかし、いよいよ1人になった時、本に戻るところが大人というか、少し悲しく感じた。例え表面的であったとしても...。
★4

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October 22, 2008

アメリカン・ギャングスター

『アメリカン・ギャングスター』 をDVDで鑑賞。

あらすじ:
 1968年、ニューヨーク。黒人ギャングのボス、バンピーの右腕として仕えてきたフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。彼はバンピー亡き後、ボスの座を引き継ぎ、自らの帝国を築き上げようと決意。そして、東南アジアから軍用機を使い純度100パーセントのヘロインを直接仕入れる独自ルートを開拓し、それらを“ブルー・マジック”のブランド名で市場へ売りさばくことに成功したことから、フランクは瞬く間に麻薬王として君臨していく。一方、ニュージャージーの警察に所属する刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)。彼は、警官の汚職がまかり通っていたこの時代に潔癖な仕事を貫いていたため、周囲から疎まれ孤立していた。また私生活では元妻と養育権で係争する傍ら、司法の道を目指している。そんな彼はある時、検察官からエセックス郡麻薬捜査班のチーフに抜擢される。やがて大衆に蔓延するブルー・マジックの捜査を進めるうち、フランクの存在に辿り着くリッチーだが...。

キャングの頂点に君臨するフランクと、やり手の刑事リッチーが派手にドンパチするか、これでもかと頭脳戦を繰り広げるのだろう。そう思っていた。しかし、実際にはそんな映画的なストーリーではなく、それぞれの人格説明ともいうべき地味な展開が永遠続く。いつまで続くのか?とあきらめた時にようやく2人は急接近するのだが、まさに電光石火で決着。少々意外な展開で幕を閉じる。勿論、こういう事実があっての話なのだからしょうがないんだけれど、どこか寂しい。せめて、どちらかに焦点を当ててみるとまた違った印象を受けるのではないか?と思う。

キャスティングに関してはまぁ申し分ない感じ。デンゼル・ワシントンにラッセル・クロウですからね。ギャング役のデンゼル・ワシントンってどうなの?正義の味方って印象が強いけど大丈夫?と思っていたけど、いわゆる真面目なギャング役なのではまっていたように思う。これが切れまくりのギャンングだったら駄目だったろうけど、そこは役に応じ適任者を選んだな!って感じ。ラッセル・クロウは私生活も少し荒れ気味だし、リッチーもそんなキャラなので、本人も違和感なかったのでは?という気がする。(^^;

映像的には、1970年頃のアメリカがどんなだったか?や、ハーレムってどんな?だった私だが、雰囲気は伝わってきたし、ドラッグ加工場の雰囲気も”きっとこんな感じなんだろうな” って納得出来る緻密な感じがしました。映画的なギャング物を求めるのではなく、こういうギャングが存在した!というドキュメンタリー番組的な感覚で観ると、まただいぶ違って感じるのかもしれない。
★3

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October 17, 2008

ハウルの動く城

『ハウルの動く城』 をDVDで鑑賞。

あらすじ:
魔法と科学が混在する世界のとある国。愛国主義が全盛を誇り、いよいよ戦争が目前に迫っていた。父の遺した帽子店を切り盛りする18歳の少女ソフィーは、ある日町で美貌の青年と出会う。彼こそは人々が怖れる悪名高い魔法使いのハウルだったのだが、ソフィーは彼の優しさに心奪われる。だがその夜、彼女は荒地の魔女に呪いをかけられ90歳の老婆にされてしまうのだった。本当のことが言えずに家を出たソフィーは、人里離れた荒地をさまよい、やがてハウルが暮らす動く大きな城に潜り込み、住み込みの家政婦として働き始めるのだった...。

やっと「観てみるか!」という気分になり鑑賞してみました。最初の感想。「つまらない...」ですね。好きなキャラがいない、好きな建築物とか、風景とか、美味しそうな食べ物とか、魔法の凄さだったりとか、音楽が凄くいいとか、リズム感がいいとか、そういう好きになる要素が見当たらない...。確かに城が動くのは面白いけど、好きにはならなかった。 ┐('~`;)┌
残るはストーリーなわけですが、このストーリーがよく分からない。何かあるんだろうなとは思うものの、精神年齢は子供のままに魔法を会得し成人したハウルと、精神的に保守的でお婆ちゃん化しているソフィー。この2人が中和され、それぞれ精神的に実際の年齢並みとなって終わり。この2人をつなぐのは戦争であるものの、特に何かがあるわけじゃぁない。城は単なる現実逃避のための駆け込み寺でしかなく、実はハウルの魂?(カルシファー)が城を動かしていたわけですが、その事が物語を面白くしているわけでもない。つまり、作品に魂が入っていない。綺麗なアニメーションがあるだけ。という感じ。恐らく原作は魅力的だったんだろうけど、消化不良のまま時間内に収めてみたよ!って事務的な匂いがプンプンする。唐突に襲うエンディングもかなり強引な印象でした。

CGアニメも作品を平面化してしまっているのかもしれない。凄く緻密なアニメ。セルを1枚づつ書いたらさぞ大変だろうなぁと思うクオリティ。でも、絵的な迫力が無くなってしまって "がつーん" と印象に残る絵が無かった。作り手の思いがセルにのってくる感覚がない。多少粗くても、このシーンは!というのが欲しい気がする。だから「ポニョ」は手書きにこだわったんだろうか?少なくとも自分のイメージはそのまま映像化されるわけだからね。

声もなんかパッとしない。以外にも、ハウルの木村拓哉は精神年齢が低いキャラのせいか違和感がなかった。問題はソフィーと荒地の魔女。特にソフィーの違和感ったら酷い。見た目と全然あってないじゃん!。精神年齢の変化とともに見た目(魔法の効果?)が変わるのはまぁいいとして、見た目なりの声にして欲しい。つまり、18~90歳のキャラを1人で担当するのは無謀なんじゃないか?と思うわけです。しかもプロじゃなく素人で...。感情の起伏が伝わってこない。主役級なんだから、プロを使うべきだったでしょうね。

やっぱり、私的には「紅の豚」がピークで、どんどん力がなくなっている気がします。「ゲド戦記」をけってまで「ハウル」にこだわったのは、本当に引退しようと思っていたからじゃないかな?。
★2

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October 10, 2008

アイアンマン

アイアンマン』 を劇場で鑑賞。

Ironman

あらすじ:
軍事企業CEOにして天才発明家のトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、新型地対地多弾頭ミサイル「ジェリコ」のデモで訪れたアフガニスタンでラズ(ファラン・タヒール)率いる無国籍テロリスト集団に拉致され、洞窟内で「ジェリコ」開発を強要される。彼はイェンセン博士(ショーン・トーブ)が作成した電磁石により一命をとりとめ、イェンセンと共に「ジェリコ」開発をするフリをしながら脱出用のパワードスーツを製作。命からがらの脱出を果たす。帰国後トニーは父の旧友であり会社重役であるオバディア・ステイン(ジェフ・ブリッジス)の意思とは無関係に自社の軍事産業からの撤退を発表。自らは自宅の作業部屋に篭って、新型パワードスーツの開発に没頭する。軍事産業撤退を否定するオバディアは、トニーが電磁石維持のため小型化に成功したアークリアクターに目をつけるのだが...。

アメコミの映画化。そもそもストーリーには期待しておらず、VFXを大迫力で楽しもう!的なノリで鑑賞したため、こんなもんじゃないか?と納得して帰ってきました。研究所でも小型化出来ないものが、洞窟の中でマジな設備もないのに完成てしまう凄さ。┐('~`;)┌ いくら貴重な人物が行方不明とはいえ、テロ組織がいるだろう空域を終日捜索する軍隊って...どうなの?。低温でボディが凍るのは分かるけど、電気系統まで停止し、それが落下途中で復活するってありえるの?。みたいな感じで突っ込み所は満載。でもいいんです。(´ー`)┌

自分の作った兵器が自分の命を脅かす。実際に死んでゆく人を見る。その現実を直視した瞬間に善人になろうとする安易さ。そして想像したものはすべて作ってしまう天才的主人公。で、悪を倒す。まぁ気楽にスカッとしますよね。その辺の典型的なヒーローものに必要な要素はしっかり押さえてあって、変に裏切られる事はなかったです。

キャスティングとしては、トニーはそれっぽいし、オバディアのいかにも悪そうな風貌もナイス。秘書のペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロー)は一輪の花として男臭い世界を中和しておりバランスのよい感じでした。ヒーローものにヒロインがいないなんてありえませんしね。

しかし、兵器を作らないといいながら、実は究極の兵器を作っていたところがなんとも間抜けだし、アメリカらしさを感じました。結局のところ、本質はそんな簡単には変わらない。つまりはすぐそこに見える事にしか興味がない子供と一緒なんですよね。しかも、自分がやめても2番手が出てくる。見て見ぬフリ出来なくて、結局は何かしらリアクションしてしまう。無限ループですね。

そういう事を考えず、やっぱりスピード感と音響に身を委ねて軽~く観る。そうするといいんだなぁ。

エンドロール後、次回作への布石が流れるわけですが、そういうのがあるから最後まで席を立たないでね!というのはやりすぎ。好きな人は黙っていても幕が閉じるまでいると思います。ちょっと必死なところが目について可哀想に感じてしまいました。次回作のクオリティがどんなか分かりませんが、次はビデオかな?。
★3

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October 03, 2008

拒絶空港

『拒絶空港』 を読了。?

あらすじ:
パリ発 成田行 NIA 206便(B747-400)は定刻にド・ゴール空港を離陸。しかし、離陸時にタイヤがバーストした可能性があるとパリから成田整備に連絡が入る。無事着陸可能なのか?被害状況がつかめないまま着陸させるための可能性を模索している中で更なる衝撃が...。ド・ゴール空港が放射能を感知し封鎖。NIA206便に放射性物質が持ち込まれたかもしれないと連絡が入る。何とか無事に着陸させたい整備。同僚や会社のため情報管理し、最悪は被害をNIA206だけにとどめたいFOX(運航管制本部)。はっきり飛行指示をしないFOXに苛立ちを見せるFSS(フライト・サポート・ステーション)。取りまとめられない空港支店(支店長)。そして、地上から得られる少ない情報から、乗客・乗員のため知恵を絞り全力を尽くした機長達クルー。果たして2重のトラブルに見舞われた旅客機が着陸出来る空港は存在するのか?。日本のために犠牲となるしかないのか?。果たして...。

ちなみに、著者、内田幹樹 氏の過去のLOGは以下の通りです。
パイロット・イン・コマンド
タイフーン・トラップ - 機体消失
機長からアナウンス
機長からアナウンス 第2便
操縦不能
査察機長


2重のトラブル。少し出来すぎな設定だなぁというのが最初の印象でした。これまでの作品ではあまり感じなかった、違和感というと言いすぎかもしれませんが、引っかかるものを感じたのは確かです。

今回はタイトルの通り、トラブルを抱えた旅客機を受け入れる場所(空港)がなく、そのために地上と空で思わくが交錯するわけですが、どうするのかな?結末がハッピーエンドであることはこれまでの作品から分かっているものの、作品の展開や、幕引きの中身が中盤まで分からず一気に読んでしまいました。とはいえ、読み進めるとおおよそ予想通りというか、あまり意外性は感じなかったですね。一番気になったのは、航空小説というよりも、横の連携が無い現代社会をいう切り口になっており、以外と言えば以外ですが、少々あっけない結末であったことです。

内田氏ならではの航空小説を期待し、確かに組織的な役割等は新鮮であるものの、縦社会の弊害を描いた”地上”がメインであり、しかも結局は地上で何かをしたわけではなく、機長の機転でいつのまにか解決出来てしまった...。その消化不良感ですね。その事実は小説の中で【本人】も触れられており、葛藤があったのかな?という気もします。”地上”の何処かの部門(整備とか)をもっと掘り下げてみたらもっと内田氏らしさが出て楽しめたのかな?という気がしました。

この作品が私にとって内田氏最後の作品となってしまった事が非常に残念です。

[ 書庫データ ]
拒絶空港
著 :内田幹樹
訳 -
原書房 1,600円 -版 280p ISBN4-562-04027-0

Kyozetukuukou

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