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February 20, 2007

動機

『動機』 を読了。

横山秀夫氏の作品としては5冊目。久々の短編集でしたが、非常に濃密で、短編だったのか?と思わせるあたりは巧い!と思います。4つの物語で構成されておりました。

「動機」
警察手帳を一括保管・管理していたが、その手帳30冊が盗まれた。
外部の犯行か?内部か?内部の犯行だとしたら理由は?個人的な恨みか?。一括保管の起案者であるJ県警本部警務課企画調査官・貝瀬正幸にのしかかる責任問題。記者発表まで残り時間僅か。タイムリミットまでに犯人を特定出来るか?手帳は?。「都合のいい犯人」であったり「父と子」というキーワードが非常に分かりやすく物語の潤滑剤として有効に機能しており、警察の確執と人生をうまく組み合わせて一気に読めてしまう流れはさすが。

「逆転の夏」
13年前、保身のため女子高生を殺害した山本洋司。
仮出所し、ひっそりと暮らしていた。彼の望みは「いつか家族の元に戻ること」。そのかなわぬ思いにケリをつけるため妻に生活費を送金し続けていた。そんな時、突然”カサイショウジ”と名乗る男から殺人の依頼を受ける。最初は話しを聞くだけ...しかし、依頼を受けてもいないのに山本の口座にはどんどんお金が振り込まれてくる。「家族」を取り戻すための金が欲しくてついに”カサイショウジ”の言う完全犯罪にのってしまうのだが、その先に待っていた現実はまさに逆転だった。途中で少しは怪しいなぁとは思うものの、スピード感がありあっという間にエンディングへ突入してしまった。更生したい者と、殺人を誘惑する者の駆け引きが絶妙で面白い。

「ネタ元」
弱者のための記事を書きたい!と地方紙に入社した水島真知子。
ネタ元と呼ばれる「情報提供者」の存在と、女であることの不公平感。入社時の思いなどとうに忘れ、とにかくスクープを!という現在のメディアを象徴する展開と、実はネタ元と共存していなかったという展開は、日常ある勘違いとうまくリンクしていて、不公平感さえも被害妄想であったと一蹴してしまうところが微妙でハラハラしてしまう。

「密室の人」
裁判長・安斉利正が法壇で居眠りし、あろうことか妻の名を言ってしまった。
面白がる同僚。煙たがる上司。新聞に書かれては困ると翻弄する安斉は雲の上から地上に降りてきた普通の人だった。裁判官という特殊な職業の裏側と、妻の静かな攻撃という意外?な組み合わせのギャップがなかなかで、次の展開が気になり気がつけば幕がおりようとしていたが、地上で安斉が向かう先に何があるのか?。つい期待してしまうのは男の身勝手だろうか?。

横山 秀夫氏のこれまでのエントリーは以下です。
ルパンの消息
陰の季節
クライマーズ・ハイ
半落ち

[ 書庫データ ]
動機
著 :横山 秀夫
訳 -
文春文庫 \514 ?版 304p ISBN4-16-765902-6

Douki

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