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October 16, 2006

ゆれる

ゆれる』 を劇場で鑑賞。

Yureru

あらすじ:
東京で写真家として成功した猛(オダギリジョー)は母の一周忌で久しぶりに帰郷し、実家に残り父親(伊武雅刀)と暮らしている兄の稔(香川照之)、幼なじみの智恵子(真木よう子)との3人で近くの渓谷に足をのばすことにする。懐かしい場所にはしゃぐ稔。稔のいない所で、猛と一緒に東京へ行くと言い出す智恵子。だが渓谷にかかった橋から流れの激しい渓流ヘ、智恵子が落下してしまう。その時そばにいたのは、稔ひとりだった。事故だったのか、事件なのか。裁判が始められるが、次第にこれまでとは違う一面を見せるようになる兄を前にして猛の心はゆれてゆく。やがて猛が選択した行為は、誰もが思いもよらないことだった...。

”ゆれる心”を見事に描ききった佳作だと思う。

無意識に兄弟間に存在する対抗意識って確かに存在する。しかし、お互いの距離がその溝を埋めていて兄弟愛を演じることを可能にしていたんだけど、どちらかが禁断の扉を開けてしまうと溝は一気に露呈し脆く崩れてしまうものなんだという過程を見事な演出で構築している。薄氷の関係は、ゆれる吊り橋だったり、霞んだ写真、嘘の真実に垣間見ることが出来る。

そして、その脚本を支えているのが、人ってこんな表情をもってるものなの?ってくらいの香川照之氏の演技であり、それをサポートしたオダギリジョーであったと思う。

絡んでいた糸が少しづつほぐれてゆき、ついに向かい合った時のあの深い目。それは香川氏もオダギリジョーも例外なく見事で、事故なのか殺意があったのか?が徐々に明かされてゆく裁判シーンと見事にリンクしていたと思う。それでも香川氏の殺意とも愛ともとれる表情は抜きん出ていて、DVDが発売されたら是非とももう一度観たいと思わせる出来だ。

稔はバスに乗ったのだろうか?。そこで物語りは終わり結末は観客に委ねられる。私はバスに乗ったと思う。弟の決断を受け入れた兄は7年間の服役を経てようやく人生のスタートラインに立ったのだから、ここでまた弟に縛られる人生を選択して欲しくない。そして、弟は本当の(自分の思う)兄を取り戻す事が出来なかった苦しみにゆれるのだ。そこに真の判決があると思う。

愛と恐怖。信頼と裏切り。自分と他人。世の中は常に揺れている。
★5

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