« 沖で待つ | Main | 箱 - Getting out of the box »

March 14, 2006

ウィスキー

ウィスキー』 をDVDで鑑賞。

whisky

ウルグアイで小さな靴下工場を経営するハコボ(アンドレス・パソス)。
そこに勤める控えめだが、ハコボと工場を支えるマルタ(ミレージャ・パスクアル)。
2人は経営者と従業員という関係で、会話も挨拶程度。

淡々と過ぎてゆく日々。朝から晩まで台本通り進んでゆく日常。退屈そのもの。そりゃラジオくらい聞きたくなるのも分かります。
で、ハコボが母親の墓石建立式を行う事になり、ブラジルで靴下工場を経営する弟・エルマン(ホルヘ・ボラーニ)の登場で台本の無いアドリブの生活が出現する。
というのは、エルマンは人生の成功者(勝ち組)で、自分は負け組だと分かっているけど、でも負けたくないという思い。コンプレックスがあるわけです。
そこでハコボはマルタに数日間だけの夫婦となってくれるようお願いし、もともと好意をもっていたマルタは快く承諾するんですね。
独身だとは言えなかったんですハコボは。部屋は汚いし車はボロでエンジンがかかりにくいけど、精神面で負けたくなかったんだなぁ。分かりますよそれ。

マルタは積極的になります。コレまでの台本から解き放たれた彼女は、女として人生を再出発するわけです。数日限定であってもエルマンがいる間は完璧な夫婦になれる。
遅咲きだけれど薔薇が咲くハズ。
ハコボの思いを越えて着々と準備を進めるマルタ。「2人の写真が必要でしょう」と、腕を組んで記念写真を撮るシーンなど、彼女がいかにハコボを想っていたかがはっきり伝わってきてニヤリ。

whisky2

ハコボと違いエルマンは陽気な人でした。
相変わらずハコボはぶすっとしていてマルタが可哀想になってきますが、エルマンの存在がマルタの想いを少しづつ変えていったように思えます。
マルタの表情が徐々に和らいでゆくが、観ているこっちも嬉しい気持ちになってくる。
エルマンが帰国する際、マルタが渡した手紙には何と書かれていたのでしょう?。

ハコボはマルタとどう付き合ったらいいのか分からない子供でしたね。
凄く不器用でアドリブが苦手。
謝礼を受け取りハコボの家を後にしたマルタは翌日出勤する事はありませんでした。
そこでこの物語りは終わってしまいます。
あとは「観る側で好きなように解釈してね」という事ですね。
マジっすか? ってなもんですよ。 ( ̄○ ̄;)!!

”ウィスキー”とは写真を撮る時の日本版 ”ハイ・チーズ”。
作られた笑い or 幸せの合言葉 という事だそうです。
マルタはそんな作られた生活から真の幸せを掴みたかったハズ。
謝礼として貰ったお金は大金だったハズですが、マルタは一言「好きだ」言って欲しかっただろうに、手切れ金のように金を渡されてはね...。
帰りのタクシーで見せるマルタの表情は分かれた恋人(夫)の元を去る女性のようでした。もうハコボの元には戻らないように思います。
しかし、エルマンは既婚者。エルマンの住むブラジルに行きたいとは言っていたけど、エルマンの元に行くのは相当な勇気が必要でしょう。何よりエルマンには子供もいる。

ハコボから好きと言って貰えず、エルマンの元には行けず、お金だけ手もとに残ったマルタはどうしたいんでしょうね?。
まさにコレこそがこの作品の狙いだと思われ、あれこれ考えさせられます。

凄く単調で、全く盛り上がりを作らず、しかもエンディングを観客にゆだねる。
これって凄い冒険で、ひょっとしたら大失敗する可能性があるわけで、ハリウッドや日本ではまず作れない作品だと思います。
コレまでに60本しか作られていないウルグアイから生まれたこの作品。
ちょっと退屈だったりしたけど、よくよく考えると実は凄いかもって...じわじわきますねこの作品は。
かなり観る人を選ぶ作品だと思いますが、私はこういうの好きです。
★4

|

« 沖で待つ | Main | 箱 - Getting out of the box »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/80479/9085520

Listed below are links to weblogs that reference ウィスキー:

« 沖で待つ | Main | 箱 - Getting out of the box »